エイズ(HIV)について知っておきたいこと 感染経路、症状など

大好きな人とはいつまでも仲良しでいたいもの。しかし、思わぬ病気が発覚したことから途端に不安に陥ることがあります。それが「エイズ」という病気です。

お付き合いをしている相手がエイズで性交渉をしている場合、自分自身もエイズに感染している可能性があります。キスだけだから大丈夫?エイズってどんな病気なの?治療は可能?など、さまざまな疑問が湧きあがってくることでしょう。

実は、エイズに関する知識を正しく、そして詳しく持ち合わせている人はとても少ないと言われています。知識の少なさや誤解が、エイズの二次感染を拡大させてしまう土台にもなってしまいますので、自分だけはエイズに関係ないと思わないことが大切です。

周りにエイズに感染した人がいるという方も、いないという方もエイズに関するさまざまな情報を詳しくご紹介していきますので、正しい知識を身に着けて頂ければと思います。

エイズとは

エイズとは

何となく怖いイメージを持ってしまいがちなエイズですが、一体どんな病気なのでしょうか。まず、よく誤解しやすいのがエイズとHIVの違いです。

エイズは病名で、HIVはウイルスのことをさしています。

HIVはエイズウイルスと呼ばれますが、正式名称 「ヒト免疫不全ウイルス」 です。このヒト免疫不全ウイルスに感染すると、身体に備わっていた免疫力がだんだん弱くなっていきます。

そして、健康な人なら平気なウイルスにも感染し、たくさんの病気が引き起こされるようになるのです。たくさんの病気が「エイズ指標疾患」 とされている病気にあてはまれば、「エイズを発症した」 と診断されます。

エイズは「後天性免疫不全症候群」と呼ばれ、英語ではAcquired Immune Deficiency Syndromeと言うことから、略して「AIDS(エイズ)」と使われています。

感染経路は

エイズという病気は、HIV(エイズウイルス・ヒト免疫不全ウイルス)に感染し、エイズ指標疾患にあてはまることから発症したと診断される病気です。では、このウイルスはどんなところから感染するのでしょうか。

エイズは、HIVを含む血液、精液、腟分泌液、母乳などの体液が、相手の粘膜部分にできた傷口などに接触することで、感染する可能性が高くなります。

怖い病気だと思いがちですが、感染経路をしっかり把握しておけばむやみにエイズ患者と距離を取る必要がなくなります。

エイズの基本的な感染経路は、性行為による感染、血液による感染、母子感染となります。それぞれ詳しくみていき、誤解しやすい感染経路についてもご紹介していきましょう。

性行為による感染について

性行為による感染について

エイズに感染する経路として、まず取り上げたいのが性行為による感染です。エイズは、HIVを含む体液が相手の粘膜部分にできた傷口などに接触することで、感染する可能性が高くなるため、性行為は感染経路として非常に重要視されています。

性行為では、ちょっとした体位や分泌液の減少により粘膜が傷つきやすくなります。口腔内、膣内、肛門、尿道付近などは、気づかないうちに細かい傷ができてしまう可能性が高いため、HIVを含む体液が接触しやすくなるので、感染の確率も上がってしまいます。

性行為による感染を防ぐには、HIVを含む体液が傷ついた粘膜に接触しないことが重要になります。コンドームを着用することで、それをブロックすることができるため、エイズ検査をまだしていない段階で性行為を行う場合は、コンドームを必ずつけるようにしましょう。

血液による感染について

血液による感染について

エイズに感染する経路として、次に取り上げたいのが血液による感染です。主に注射針を使いまわしすることで感染することが多くあります。

麻酔に使用した針を消毒せずに使ったり、覚せい剤や麻薬を注射に入れて仲間で回し打ちしたりすると、その中にひとりにHIVに感染したエイズ患者がいれば、次々と感染してしまうことになるでしょう。

輸血によりエイズに感染

また、輸血によりエイズに感染してしまうこともあります。基本的に、献血された血液はさまざまなチェックを行い、安全が確認されてから輸血に使用できるようになっています。

しかし、HIVに感染したばかりの人は、数値が微量であることからそのチェックをすり抜けてしまうことがあるため、稀にHIVが混じった血液が献血に使われることがあります。

エイズの可能性がある人が、エイズ検査目的に献血をする場合がありますが、感染の有無は献血者には通知されませんし、新たなエイズ患者を拡大させることにも繋がります。HIVに感染しているかもしれない、エイズを発症しているかもしれないと感じている方は、決して献血をしないようにしましょう。

輸血によるエイズ感染が怖いという方は、自分の血液をあらかじめ採血して手術で使用する 「自己血輸血」 が安心です。

母子感染について

母子感染について

エイズに感染する経路として、最後に取り上げたいのが母子感染です。多くの産婦人科では、妊娠3ヵ月頃にエイズに感染しているかどうか初期検査を行うことになっています。そのため、妊娠をきっかけにエイズに感染していたということに気づく場合もあるようです。

基本的に、エイズの検査は任意で受けるものですが、赤ちゃんへの感染を考えると、きちんと検査を受け適切に治療することが大切です。

エイズに感染していることに気づかないまま出産を迎えると、赤ちゃんへエイズが感染する確率は約30%となります。しかし、エイズの検査を受けて妊娠初期に把握できていれば、適切な治療により赤ちゃんへエイズが感染する確率は1%以下に下げることができます。このことからも、妊娠したらエイズの検査は必ず受けておくようにしましょう。

母子感染の対処や治療について

母子感染の対処や治療について

エイズに感染する経路として母子感染をご紹介しましたが、妊娠初期にエイズに感染していると判明した場合、具体的にどのような治療や対処を行っていくのでしょうか。

まず、妊娠14週以降に抗HIV薬を服用していきます。順調に赤ちゃんが育ち臨月に入ったら、予定日を決め帝王切開で出産します。

膣を通過する自然分娩の場合、エイズに感染する確率は、約20%と言われていますが、帝王切開による分娩方法なら、エイズ感染の確率は0.45%に下げることができるので、安全な帝王切開の方が推奨されています。

分娩時には抗HIV薬を点滴し、産まれた赤ちゃんにも約6週間抗HIV薬を服用させます。母乳にはHIVが含まれているため、赤ちゃんに与えることはせずミルクでの育児が徹底されます。このような処置により、母子感染の可能性を最小限に抑えることができるでしょう。

エイズ感染者と子供の問題

エイズ感染者と子供の問題

エイズに感染していると、相手に感染するリスクや母子感染のリスクもあるため、子供をあきらめる人もたくさんいらっしゃいます。

しかし、最近では母子感染の確率は下がってきていますし、エイズに感染しないように配慮した受精の方法が確立されてきたため、エイズ患者でも子供を授かることができます。

例えば、妻がエイズ患者で、夫は非エイズ患者の場合、人工授精によって夫の精液を妻の子宮内に注入することで、感染を防ぎながら受精させることができます。また、夫がエイズ患者で、妻は非エイズ患者の場合、妻の卵子と夫の精子を取り出し、体外受精させることで感染を防ぎます。

ただ、夫がエイズ患者の場合、精液にはHIVが含まれているため、そのまま体外受精させると妻や子供に感染してしまう可能性があります。そこで、精液を洗浄してHIVを分離させた状態にしてから、体外受精を行うと安全です。

どんどん技術が発達して、エイズを発症していても子供を授かることは可能になってきていますので、気になる方は一度相談してみると良いでしょう。

感染経路の誤解

感染経路の誤解

エイズに感染する経路は、性行為による感染、血液による感染、母子感染がほとんどです。しかしこれらの知識を知らないため、不必要に感染を怖れてしまうことがあります。感染経路を誤解したままでは、自分も相手も不安になってしまいますので、改めて見直しておきましょう。

エイズは、HIVウイルスを含む体液が、粘膜にできた傷口に接触することで感染します。

よく、粘膜と皮膚を勘違いしやすい部分がありますが、ヒトの皮膚にはウイルスや細菌を侵入させないバリアがあるため、健康な皮膚にHIVを含む体液が付着しても感染することはありません。ただ、皮膚に大きな傷があれば感染する可能性はありますので、怪我などをした時には注意が必要です。

また、HIVを含む体液が付着した手で、口腔内や膣内などにできた粘膜の傷に接触すると、そこから感染してしまう可能性があるので、注意しましょう。

汗や涙などの体液について

エイズは、HIVを含む体液が粘膜にできた傷口に接触することで感染します。この場合の体液とは、血液、精液、腟分泌液、母乳のことを指します。

誤解しやすい体液として、汗、涙、唾液、尿、便がありますが、HIVは含まれていないので感染する可能性はないでしょう。このことから、エイズ患者と一緒のお風呂に入ったり、同じトイレを使ったり、食べ物をシェアしたりしても感染することはありません。

日常生活で使うものを共有しても、感染する可能性はないので不用意に不安になる必要はありません。

感染から発症まで

感染から発症まで

エイズという病気は、HIV(エイズウイルス・ヒト免疫不全ウイルス)に感染し、エイズ指標疾患にあてはまることから発症したと診断される病気です。実は、HIVに感染してもすぐにエイズと診断されるわけではありません。

HIVに感染した直後は、発熱やのどの痛み、筋肉痛などが引き起こされますが通常の風邪と誤解されやすいため、ほとんどの人が気づきません。

そして、これらの症状が落ち着いた後は潜伏期間として無症状が続きます。1~2年ほどでエイズを発症する人もいれば、10年経過してからエイズを発症する人もおり、かなりの個人差があります。

ただ、無症状が続いている間にも少しずつ免疫力は下がっており、発症する時には健康な人では問題のないものに反応し病気が起きるようになります。

エイズを発症したと診断されるのは、エイズ指標疾患にあてはまるかどうかという点が重要になります。エイズ指標疾患には、どんなものがあるのか簡単にご紹介しておきましょう。

エイズ指標疾患について

エイズ指標疾患について

HIVに感染しても病気を発症しなければエイズだとは診断されません。エイズを発症したという診断のきっかけになるのが、エイズ指標疾患ですが、どのような病気があるのでしょうか。

病名で上げると、カンジダ症、クリプトコッカス症、ニューモシスチス肺炎、コクシジオイデス症、ヒストプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ脳症、イソスポラ症、非結核性抗酸菌症、化膿性細菌感染症、活動性結核、サルモネラ菌血症、サイトメガロウイルス感染症、単純ヘルペスウイルス感染症、進行性多巣性白質脳症、カポジ肉腫、原発性脳リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、浸潤性子宮頸癌、反復性肺炎、リンパ性間質性肺炎、HIV脳症、HIV消耗症候群となります。

HIVにより免疫が下がることから、以上のような病気が引き起こされエイズを発症したと診断されるのです。

治療方法について

治療方法について

HIVに感染しても、早めに発見し適切な治療を受ければエイズの発症する確率を抑えることができます。エイズ検査を実施しているのは、保健所や医療機関です。

保健所なら、無料で検査を受けることができますし匿名で受けられるのでプライバシーも守ることができます。それでも、人と会うことに抵抗があるという方は、郵送される検査キットで行うと良いでしょう。

治療方法についてですが、「抗HIV療法」を行います。抗HIV薬を服用し、HIVの増殖を抑えながら減少させていくことで、エイズの発症を抑えることができるのです。継続して行うことが重要になるので、医師と相談しながら治療を続けていけるようにしましょう。

まとめ

エイズについて詳しい情報を幅広くご紹介しました。正しい知識を持つことでエイズに対して不必要に怖がることもなくなりますし、感染経路を知ることで予防し、エイズの拡大も防ぐことができます。また、治療を受けることでエイズの発症を抑えられるということを知るのも大切です。

これからエイズの感染拡大を防ぐためにも、自分や相手、周りの人たちを守るためにも、まずはエイズに感染しているかどうか、調べるようにしましょう。この情報をきっかけに、エイズとしっかり向き合ってみてくださいね。