
女性にとって、生理は身体の調子を知るうえでとても大切なものです。生理が遅れたり早まったりすると、「身体の調子が悪いのかな?」「最近無理をしていたかもしれない」と、日々の生活を見直すきっかけになります。
しかし、中には生理予定日とは全く別のタイミングで出血する時もあるため、とても心配になることもあります。
生理以外の出血は「不正出血」と言われ、さまざまな原因が隠されていることがあります。身体の不調を現す不正出血の原因で、もっとも影響力の強いもののひとつがストレスです。
不正出血とストレスにはどのような関係があるのか、そしてどんな解決方法があるのかなど詳しくご紹介していきましょう。
不正出血とストレスの関係は?
不正出血の原因として、もっとも影響力の強いもののひとつがストレスです。ストレスは身体のさまざまな機能を乱す作用があるため、できるだけため込まない事が重要です。
ただ、ストレスは人によって感じ方が異なるため、私は大丈夫だと思っていても意外と負担がかかっていることもあります。
また、精神的なストレスだけでなく、身体的なストレスも不正出血に繋がることがあるため、両方の面で気をつける必要があるでしょう。
不正出血の種類
不正出血とひとくちに言っても、その種類はいろいろあります。不正出血の原因として最も影響力の強いもののひとつがストレスですが、その他の原因としては妊娠が関係している不正出血、生理的な不正出血、病気が関係している不正出血もあります。
どの種類の不正出血かにより、対処方法も異なってきますので詳しくご紹介しておきましょう。
妊娠が関係している不正出血
不正出血の原因のひとつとして妊娠が関係していることがありますが、具体的に妊娠と不正出血はどのようにつながっているのでしょうか。妊娠による不正出血の場合、最初におきるのが着床出血です。
着床出血は、排卵された卵子が精子と結びつき、受精卵になったあと着床する際に発生するものです。受精卵が子宮の内膜に着床する際、絨毛が内膜の組織に入り込むように根を張るため、内膜の組織の一部が傷つき出血してしまうことがあります。
着床出血の場合、数日で治まることが多く量も非常に少なめです。血液の量は微量に混じる程度で、薄ピンク色や茶色をしていることがほとんどですが、人によっては鮮血が出る場合もあります。
受精卵成長による不正出血
不正出血の原因として妊娠が関係していることがありますが、着床出血の後に再び不正出血が起きることがあります。受精卵が成長する時に、絨毛がさらに深く内膜の組織に潜り込むため、組織が傷ついて出血してしまうからです。
妊娠の事実が判明した後に不正出血が起きるので、流産かもしれないと心配になる妊婦の方も多いですが、ほとんどの場合で受精卵の成長による不正出血なので心配する必要はないでしょう。
ただ、お腹の痛みが伴ったり吐き気や発熱があったりする場合は、流産の危険性が考えられます。妊娠の事実が判明した後に、身体の違和感と共に不正出血があるときは、切迫流産を引き起こしている可能性があるので、すぐに対処するようにしましょう。
切迫流産を放置していると、母体にも赤ちゃんにも負担が増し、最終的に流産してしまう危険性があります。病院で診察を受けると、絶対安静を命じられると思いますので、身体を充分休ませるようにしましょう。
生理的な不正出血について
不正出血が起きる原因にはさまざまなことがありますが、中には生理的な現象から不正出血が起きることがあります。それが、排卵出血です。
排卵出血は、排卵により女性ホルモンの急激な変化が起こることから生じます。全ての女性に現れるわけではありませんが、深刻な病気というわけではないので心配する必要はないでしょう。
期間が長い、量臭いがおかしい不正出血
不正出血は少量で数日続いて終わるというイメージがありますが、中には注意すべき不正出血があります。まずは出血量が多い事が挙げられ、通常の生理の出血量よりも多い場合は貧血になったり他の病気が考えられますので、早く病院で検査を受ける必要があります。
それから不正出血が少量であっても付随する症状におかしな所があれば、検査を受けるのが安心でしょう。
例えば、おりものの臭いが酷くなったり炎症が起きているような場合には、ホルモンバランス以外の原因の可能性があるので、この場合も病院を受診するようにしましょう。
病気による不正出血について
不正出血が起きる原因として、一番恐いのが病気による不正出血です。さまざまな病気のサインとして不正出血が起きることが多いため、大切なサインを見逃さないようにしましょう。
不正出血を伴う病気としては、子宮頚管ポリープ、子宮内膜ポリープ、粘膜下子宮筋腫、クラミジア頚管炎、子宮腟びらん、委縮性膣炎、子宮内膜増殖症、子宮体がん、子宮頸がんなどがあります。
病気により、ごく微量の不正出血であることもあれば、長い期間鮮血の不正出血が続くこともあります。中には黒っぽい不正出血や茶色っぽい不正出血が出ることもあるでしょう。
不正出血が度々続き、生理期間中の経血の量も増加しているようなら、一度きちんと検査を受けて病気の有無を確認しておいた方が安心です。
ストレスが原因の不正出血
不正出血が起きる原因として、最も影響力が強く、ある意味最も厄介なのがストレスです。ストレスがかかることにより、身体にさまざまな悪影響が出てしまうため、不正出血が起きやすくなってしまうからです。では、具体的にストレスは身体にどんな影響を与え、不正出血を招いてしまうのでしょうか。
まずストレスは自律神経の働きを乱してしまいます。自律神経には交感神経と副交感神経があり、それぞれのバランスが保たれていることにより、身体の機能は正常に働きます。
しかし、ストレスにより自律神経のバランスが崩れてしまうと、興奮状態が続いて身体が緊張したままになってしまったり、血行不良により身体が冷えやすくなったりしてしまいます。
身体が緊張し冷えた状態が長く続いてしまうと、子宮周辺の血流も滞り生理不順や生理痛を引き起こしてしまうため、不正出血が起きやすくなってしまうようになります。
ストレスによる不正出血の色の特徴
不正出血は中々原因が突き止めにくいのですが、もしかしたらストレスが原因かも?と思われるような不正出血の特徴があります。
ストレスでホルモンバランスが崩れるため子宮内膜が生理前に剥がれてしまうのが原因だと、茶色の不正出血になります。ほとんどが茶色の不正出血なのですが、ストレスで免疫力が下がってしまうと膣内で炎症が起きて出血し、その場合は鮮血色場合が多いです。
大体数日で終わるのがほとんどですが、ストレスが強い時はホルモンにもその影響が出るため、ストレスを感じている間ずっと出血しているというケースも少なくありません。
自律神経を安定させる方法
ストレスにより自律神経が乱れてしまうと、身体が緊張した状態が続き、血行不良により冷えも慢性化してしまうため、不正出血が起きやすくなります。自律神経を安定させるためには、とにかくストレスを少しでも解きほぐすことが大切です。
リラックスでお風呂
簡単な方法として、ぬるめのお湯を入れた湯船につかる方法を実践してみましょう。ぬるめのお湯を入れた湯船につかることで、身体を芯から温めて血行を促進させることができます。
また、入浴により身体の緊張も解きほぐされるため、自律神経の働きも徐々に安定してくるでしょう。好きな香りのアロマオイルやボディーソープなどを使用することでさらにリラックス効果を上げることができます。
いつもシャワーだけという方は、ストレス緩和のためにも毎日湯船につかる習慣を身に着けるようにしましょう。
ストレスにより乱される睡眠
ストレスは、時に睡眠を妨げる働きもしてしまいます。気持ちも身体もすっかり疲れているのに、ストレスが溜まりすぎたことからなかなか寝付けなくなり、浅い睡眠や短時間睡眠が続いてしまうことがあります。
ストレスが溜まりすぎると、イライラや不安なことが頭から離れなくなるため、脳が興奮した状態が続き、寝つきが悪くなってしまうと考えられています。
慢性的な睡眠不足に陥ってしまうと、脳は正常に働かなくなってしまうため、女性ホルモンの分泌にも影響が出てしまいます。
女性ホルモンは脳からの指令により分泌がコントロールされているため、脳が正常に動かないことで指令も乱れ、最終的には子宮周辺の機能にも影響がおよび、不正出血を招いてしまいます。
睡眠を取りやすい環境づくり
ストレスにより寝つきが悪くなったり、慢性的な睡眠不足に陥ったりしていると、脳が正常に働かずに不正出血を招いてしまうことがあります。そんな時は、睡眠を取りやすい環境づくりを整えるようにしましょう。
寝る前に身体をしっかりと温めることで、体温が上がり、寝る頃には徐々に下がりはじめてきます。眠気は、体温が下がるときに発生するため、寝る前にはお風呂に入ったり温かい飲み物を飲んだりしておくようにしましょう。
また、寝る直前までテレビやスマートフォンなどの強い光を浴びていると、脳が興奮してスムーズに睡眠に移行しづらくなってしまいますので、最低でも30分前には消しておくようにしてください。
好きなアロマオイルを炊いたり、枕カバーに数滴たらしたりすることで、よりリラックスすることができます。どうしてもあれこれ考えてしまうという方は、クラシック音楽など眠りにつきやすい優しい音楽を低音量でかけるようにしましょう。
あとは、眠らなければならないと義務感を持たないようにすることが大切です。リラックスした状態で横になっているだけでも身体は休まりますので、無理に寝ようとせず寝ている心地よさを味わうようにしましょう。そうすることで、徐々に身体も心も和らぎ、疲れが抜けていくようになります。
ストレスによる暴飲暴食
ストレスが溜まってしまうと、つい食べ過ぎたり飲みすぎたりしてしまうことがあります。しかしそれが続いてしまうと、身体に大きな負担となってしまうため、不正出血も起きやすくなってしまうので注意が必要です。
特にアルコールの過剰摂取や、脂質の摂り過ぎは血液をドロドロにさせてホルモンバランスも乱してしまいます。
ストレス発散は趣味や運動など別の方法で行うようにして、身体に必要な栄養を摂ることの大切さをもう一度見直していきましょう。
できるだけ3食同じ時間に食べるようにし、肉よりも魚をメインにしましょう。野菜を多く摂るようにして、甘いおやつも嗜む程度に控えておきます。そうすることで、脂肪やカロリーの過剰摂取は減り、身体の負担も軽減されていくでしょう。
ストレスにより乱れるホルモンバランス
ストレスが溜まっていくと、女性ホルモンのバランスも乱してしまうことがあります。女性ホルモンは、排卵や生理に大きく関わるものですから、バランスが乱れてしまうと不正出血が起きやすくなり、生理不順や生理痛も発生しやすくなります。
排卵や生理に関わる女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)がありますが、それぞれ働きが異なるため、分泌が乱れることで不正出血は起きやすくなります。
それぞれの女性ホルモンは具体的にどのような働きをしていて、何がきっかけで不正出血が起きてしまうのか、ご紹介しておきましょう。
女性ホルモンの働きについて
卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)は、不正出血に大きく関係していますが、それぞれ異なる働きをしています。
卵胞ホルモン(エストロゲン)は、卵巣にある卵子のひとつを育てて排卵させ、着床する部分である子宮内膜を厚くさせる働きがあります。黄体ホルモン(プロゲステロン)は、排卵された卵子を着床させて育て、体温を上昇させる働きがあります。
ふたつの女性ホルモンの分泌が減少すると、子宮内膜を厚くさせていた組織は剥がれ落ち、生理が始まっていく仕組みとなっているのです。
それぞれの女性ホルモンは、交互に活発になりますが、ストレスによりホルモンバランスが崩れると入り乱れるように分泌量が増減します。
そのため、一時的にホルモンの分泌量が減少すると、子宮内膜を厚くさせていた組織の一部がはがれかけるため、少量の不正出血が数日発生してしまうのです。
脳とホルモン分泌の関係
それぞれの女性ホルモンは不正出血に大きく関わっていますが、その分泌をコントロールしているのは脳です。脳からの命令により女性ホルモンの分泌量がコントロールされているため、ストレスを感じて脳が正常に働かなくなると、一気にバランスは崩れてしまいます。
そのため、ストレスを感じれば感じるほど女性ホルモンの分泌は乱れ、不正出血や生理不順を引き起こしてしまうのです。
人により適したストレス発散方法は異なりますが、運動をしたり、好きな音楽を聞いたり、リラックスできるアロマオイルを嗅いだりするなどいろいろ試して、ストレスをうまく緩和させることが大切です。ストレスを緩和させることができれば、不正出血の頻度も徐々に治まっていくことでしょう。
過度のストレスは不妊につながる
不正出血は他に何の異常が見られなかったとしても、必ず病院で検査をしてもらうべきです。ストレスによるホルモンバランスの乱れが原因の不正出血は癌とは違うため、軽く見られて放置してしまう事も少なくありません。
しかし、この状態が続けば、更に悪化してホルモン分泌が低下・停止し、不妊の原因となる可能性があります。ストレスは気をつければ解消できるものですが、機能が低下してしまったホルモン量を正常に戻すには長い時間がかかります。ですから不正出血があった場合、なるべく早いうちに病院に行くのが大事なのです。
まとめ
不正出血とストレスの関係についてさまざまな情報を幅広くご紹介しました。ストレスの影響は思っているよりも強いものなので、ひとりで抱え込まないようにしましょう。
また、不正出血にはストレス以外にもさまざまな原因が関係していることがあるので、一度は病院で診察を受けておくと安心です。不正出血をきっかけに自分の心と身体を見直し、健やかな毎日を送れるようにしてください。