性器ヘルペスについて知っておきたいこと

性行為を経験した方なら、クラミジアやHIV(エイズ)といった性感染症の存在をご存知ではないでしょうか。実際に体験した方もいれば、何となく名前は聞いたことはあるけれど良く知らないという方もいらっしゃるでしょう。

さまざまな性感染症の中でも、あまり馴染みがないのが「性器ヘルペス」という病気です。性器ヘルペスを治療しないままでいると、再発を繰り返したり他の病気を引き起こしたりすることがあるので早めに治療することが重要になります。

そこで、性器ヘルペスとはどんな病気なのか、感染ルートや治療方法など幅広い情報を詳しくご紹介していきたいと思います。

性器ヘルペスとは

性器ヘルペスとは

性器ヘルペスとは性感染症のひとつで、英語ではGenital Herpesということから「GH」と称される時もあります。

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスに感染することから発症する皮膚の病気です。

性行為や性的な接触によって感染し、性器やお尻を中心に水ぶくれができます。性感染症だからと人に言えず悩んだりする方もたくさんいらっしゃいますが、実は多くの人たちが感染していると言われています。

ヘルペスの種類

ヘルペスの種類

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスに感染することで発症します。単純ヘルペスウイルスには2つの種類があり、1型と2型がありますので簡単にご紹介しておきましょう。

1型は一般的なヘルペスとして知られる「口唇ヘルペス」の原因となります。

性器ヘルペス

一方、2型は「性器ヘルペス」の原因となります。

ただ、口唇ヘルペスの症状が現れているときに、症状が出ている部分に触れた手で性器周辺に触れてしまうと、1型の単純ヘルペスウイルスであっても性器ヘルペスの原因となることがあります。

大まかに分類すると、上半身は1型の単純ヘルペスウイルスが感染し、下半身は1型と2型の単純ヘルペスウイルスが感染すると覚えておくと良いでしょう。

初感染って何?

ヘルペスを発症させるウイルスは再発性が高いため、初めて感染したときと再発とを明確に分けています。単純ヘルペスウイルスに生まれて初めて感染することを、「初感染」というのはこのためです。

初感染が済んでいるかどうかによって症状の重さが変わってきます。例えば、単純ヘルペスウイルス1型に感染し、口唇ヘルペスを発症していた人は、抗体を作ることができるため、単純ヘルペス2型に感染して性器ヘルペスを発症しても軽い症状で済みます。

しかし、初感染が単純ヘルペスウイルス2型で性器ヘルペスを発症した場合、症状が重くなることが多いと言われています。

再発する原因について

単純ヘルペスウイルスは非常に再発率が高く、治療をしても再び現れてしまうことがある厄介な病気です。その原因としては、単純ヘルペスウイルスが、腰のあたりになる腰仙骨神経節の神経細胞に住み着いてしまうためです。

潜伏期間に入った単純ヘルペスウイルスは特に活動をしないため、症状が全く現れることはありません。しかし、何らかの刺激を受けると単純ヘルペスウイルスが目を覚まし、活動を開始してしまうため同じ症状が再発してしまうようになるのです。

感染者の数について

感染者の数について

性器ヘルペスの感染者数においてですが、日本での性器ヘルペス患者数は1年辺り72,000人いると推定されています。性別にかかわらず20代を中心に発症率が非常に高く、女性は10代後半から20代にかけて最も多く、 男性は20代から30代にかけて最も多いとされています。

また、50代から60代の患者が多いことから、他の性感染症とは違う傾向が読み取れるでしょう。どの年代においても男性より女性の発症率が高く、女性がかかりやすい性感染症のひとつだということがわかります。

単純ヘルペスウイルス2型に感染している人のうち、約60%は症状の原因が性器ヘルペスによるものだと理解していないと言われています。

自覚症状がないまま、性行為により新たな感染を広げてしまうこともあるため、少しの変化も見過ごさないことが重要になります。

感染しやすい時期とは

感染しやすい時期とは

ヘルペスは性行為の経験がある方なら誰でも感染する可能性がありますが、その中でも特に感染しやすい時期やタイミングというのがあります。それは相手を変えた時で、新しい方と性行為をすればそれだけ感染の確率が上がります。

それから風邪やストレスなどで免疫力が落ちている時はヘルペスウイルスが活動しやすくなるチャンスなので、コンドームをつけていても他の箇所から感染してしまう事があります。体調が優れないと思った時は性行為をせず、休息に努めるのが一番です。きちんとパートナーと話し合って理解してもらうようにしましょう。

症状が現れる時期について

症状が現れる時期について

性器ヘルペスを発症すると、具体的にどのような症状がいつごろ身体に現れるのでしょうか。性器ヘルペスの症状は、さまざまな条件により現れ方が異なります。

まず、性器ヘルペスに初感染した場合、3つのケースに分類することができます。

4日から10日後に症状が現れるケース。

初感染では症状が現れず、潜伏期間を経た後に発症するケース。

初感染で症状が現れ、その後潜伏期間を経てから再発するケースです。

同じ初感染であっても、症状が現れる期間が異なるため、注意しにくく感染に気付きにくいのが、患者数が増えている原因だと言われています。

性器ヘルペスの症状について

性器ヘルペスの症状について

性器ヘルペスの症状が現れる時期には、個人差がありますが、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。

性器ヘルペスの症状としてよくあるのが、患部がひりひりしたり、むず痒さがでたり、灼熱感(燃えるような熱さ)がでたり、痛みなど生じます。

患部の皮膚は、赤いブツブツが発生し、水ぶくれもできてきます。この水ぶくれが破れてしまうと、周辺の皮膚に液が付着し、ただれたり、びらんを引き起こしたりします。

女性の場合、外陰、膣の入り口付近、おしりの周辺に現れることが多く、膀胱や子宮頸部にまで及ぶことから排尿時に痛みを感じることもあります。また、脚のつけ根にあるリンパ節が腫れ上がり、発熱することもあるでしょう。

女性の場合、外性器の先端や、包皮部分、体部、おしりの周辺に現れることが多いとされています。単純ヘルペスウイルスが、稀に脳や脊髄を覆っている髄膜にまで到達し、髄膜炎を引き起こすこともあります。

髄膜炎が引き起こされると、強い頭痛に襲われ、一時的に尿が出なくなることもあるので注意が必要です。

症状が続く期間

性器ヘルペスの症状には、さまざまなものがありますが、どれくらいの期間続くものなのでしょうか。

初感染で、治療を受けずに自然に症状が治まるまでの期間を見ると、女性の場合2週間から4週間、男性の場合は2週間から3週間症状が続きます。ただ、全ての症状がずっと続くというわけではありません。

どの症状も発生する時期は同じですが、発熱やだるさが最も短く4日から5日で治まります。赤いブツブツや水泡、びらん、かゆみや鈍痛などの症状は、14日から15日で治まるでしょう。

最も長いのは脚の付け根にあるリンパ節が張れ上がる期間で、20日ほどで治まるでしょう。

ただ、これらの症状が続く長さは平均値であって個人差が大きく出ることもあります。早く症状を治めたい場合は、適切な治療を受けると1週間ほどで性器ヘルペスの症状は落ち着いてくるでしょう。

再発について

再発について

性器ヘルペスの症状は、いったん治まったように見えても再発することが多々あります。潜伏期間には個人差がありますが、単純ヘルペスウイルス2型に感染し、性器ヘルペスにかかった場合、1年以内に8割以上の割合で再発が起こっています。

単純ヘルペスウイルス1型に感染し、性器ヘルペスにかかった場合は、再発の割合が2割まで下がります。再発の頻度は、個人差があり、年に1回再発する人もいれば、1ヵ月に何回も再発してしまう人もいます。

ただ、症状としては初感染が最も重く、再発を重ねる度に症状は軽くなる傾向があります。再発は、腰仙骨神経節の神経細胞に潜んでいた単純ヘルペスウイルスが目を覚まし、性器周辺に戻って増殖することから引き起こされます。

再発する兆候として、ムズムズとした違和感や痒み、痛みが現れ始めることが多いので、早めに治療も再開するようにしましょう。

再発するきっかけについて

再発するきっかけについて

性器ヘルペスが再発するのは、腰仙骨神経節の神経細胞に潜んでいた単純ヘルペスウイルスが、何らかの刺激により目を覚ましてしまうからです。

では、何がきっかけで再発してしまうのでしょうか。性器ヘルペスの再発は、身体に疲労が蓄積している時や、免疫力が下がっている時、ストレスを抱えているときに発生しやすいと言われています。

その他に、生理前でデリケートな状態になっている時や、アルコールをたくさん飲んだ時、強い太陽の光を長時間浴びたとき、性行為により皮膚に摩擦や損傷が起きたとき、他の性感染症に感染している時、などが挙げられます。

短期間に何度も性器ヘルペスを再発してしまうという方は、身体か心のどちらかに負担がかかっている可能性があると考えられるでしょう。

感染経路

感染経路

性器ヘルペスは、性行為により感染することがほとんどです。性器ヘルペスを発症している相手と、コンドームなどを使用せずに性行為をすることで感染します。また、口唇ヘルペスを発症している状態でオーラルセックスをすると、性器ヘルペスを発症することがあるでしょう。

さらに、単純ヘルペスウイルスがついたタオルや衣服、食器を使いまわしすることで感染することもあります。皮膚や粘膜に目に見えないほど小さな傷あったとしたら、そこから感染してしまうからです。ちなみに、公衆トイレを使うときは、便座にも注意しましょう。

もしお尻に性器ヘルペスが発生している人が使っていたとしたら、同じ便座を使用することで感染する可能性があります。使用する前に除菌シートで清潔にし、トイレを済ませた後はしっかり手を洗うようにしましょう。

単純ヘルペスウイルスは感染しやすいので、感染者は患部を触った手を必ず洗い、タオルや食器は別々に使用するよう心掛けるようにしてください。

自覚症状がないことの危険性

性器ヘルペスは潜伏期間もあり、症状の現れ方もさまざまなので、感染に気付かないまま相手にうつしてしまうことがあります。自覚症状がないからこそ、検査しておくことが重要です。

皮膚科や泌尿器科で検査が受けられますので、症状が現れる部位の皮膚や粘膜などを採取したり、血液検査でチェックしたりしましょう。

病変部の皮膚や粘膜、分泌物を綿棒で擦り取って、単純ヘルペスウイルスの有無を調べます。性器ヘルペスに詳しい専門医師なら、症状を伝えるだけで診断されることもあります。

早期発見、早期治療が重要ですので違和感がでたら早めに病院で診察を受けるようにしましょう。

治療について

治療について

単純ヘルペスウイルスに感染し、性器ヘルペスを発症したら、どのような治療方法を行うのでしょうか。実は、現段階では単純ヘルペスウイルスを消滅させる薬は開発されていません。

そのため、治療では単純ヘルペスウイルスの増殖を抑えるための抗ウイルス薬を投与していきます。抗ウイルス薬を投与することで、単純ヘルペスウイルスの感染拡大を防ぐことができますし、再発しても症状が出ている期間を短くすることができます。

痛みが出ている場合は鎮痛薬、細菌感染には抗生物質を中心に投与していきます。

今まで感染経験がなく、初感染で性器ヘルペスを発症した場合、症状が非常に重く高熱が出ることもあるのでその場合は入院し、集中して治療を行う必要が出てくるでしょう。

妊娠している場合

妊娠している場合

妊娠中に、性器ヘルペスの症状が現れた場合は、すぐに担当医師に相談することが重要です。なぜなら、出産により性器ヘルペスが赤ちゃんに感染してしまう恐れがあるからです。

出産予定日まで余裕があるようなら、治療で症状を抑えることができますが、出産予定日が迫っている場合は帝王切開になることもあります。妊婦は免疫力が下がる傾向があるため、感染しやすい状態になっています。

身近に性器ヘルペスや口唇ヘルペスを発症している人がいる場合は、タオルを使い分け、できるだけ接触をしないように心がけましょう。

ヘルペスを発症している人が使用したタオルや衣服は、きちんと洗い直射日光で日光消毒すれば普通に使用しても大丈夫です。

まとめ

性器ヘルペスについて詳しくご紹介しました。性器ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスについての情報や、感染経路の解明、症状の特徴、治療方法、再発のメカニズム、感染予防など、たくさんの情報をお分かりいただけたと思います。

治療が難しく、感染すれば長期間付き合っていく必要のある病気ですから、再発しないように心がけ周りの人たちに感染を拡大させないことが重要になります。

正しい知識を持って性器ヘルペスを知り、感染しないようにきちんと対処することで、自分だけでなく周りの人たちの身体も守っていけるようにしましょう。