
生理前になると、女性のからだにはさまざまな変化が生じてきます。しかし、いつもの生理前とは違う症状が出ると「もしかしたら妊娠しているのかも!?」と感じてしまうことってありますよね。
妊娠の可能性があるかもしれないと思っていると、あっさり生理が来てガッカリしたという方も多いのではないでしょうか。妊娠初期症状は生理前の症状と非常に似ているため、なかなかその違いを見分けにくいと言われています。
しかし妊婦経験者の方の中には、「明らかに生理前の症状とは違う様子が確認できた」というケースもあります。妊娠初期症状と生理前症状の違いを見分けるには、どんな点に注目すべきなのか、その詳細をご紹介していきましょう。
妊娠と生理のメカニズム
妊娠初期症状と生理前の違いをご説明するにあたって、まずは妊娠と生理のメカニズムから簡単にご紹介しておきましょう。
まず、妊娠とは卵子と精子が結びつき、受精卵となって子宮内膜に着床した状態のことを言います。
一方、生理とは子宮内膜の組織が剥がれて身体の外に排出される状態のことを言います。
生理は、受精卵が成立しなかったときや着床が安定しなかったときに発生するもので、受精卵が安定した着床を行うことができれば、生理が発生することはありません。
生理前に発生する身体の変化は
妊娠初期症状と生理前の違いがわからないのは、その症状が非常に良く似ているからです。生理前には、多くの女性に変化が生じてきます。
吹き出物が出やすくなったり、頭痛がしたり下腹部に鈍い痛みを感じたり、腰痛が発生したり、微熱や吐き気、イライラなどの情緒不安定などがあります。これらの症状はPMS(月経前症候群)と呼ばれており、生理前になると多くの女性が体験すると言われています。
妊娠初期症状は、このPMS(月経前症候群)と非常に似ているため、いつもの生理前の兆候と変わらないため、妊娠の事実に気づかない方も多いようです。
ただ、PMS(月経前症候群)が現れない方もいるため、急に生理前のような症状が出てきて妊娠だと気づくこともあります。また、いつもとは違うPMS(月経前症候群)を感じ、生理ではなく妊娠だと感じるケースもあるようです。
症状が似ている原因
妊娠初期症状と生理前に起きるPMS(月経前症候群)が似ているのは何故なのでしょうか。これらの症状が似ているのは、ある女性ホルモンの作用が関係しているからです。
基本的にPMS(月経前症候群)はプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が関係していると言われています。
プロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵後から生理前にかけて積極的に分泌されるもので、受精卵が着床し、育つまでのサポートをしています。ただ、プロゲステロン(黄体ホルモン)は受精卵を優先する作用が強いため、身体のあちこちに不具合を生じさせやすくしてしまいます。
プロゲステロン(黄体ホルモン)は、生理前になると分泌量が減少していきますが、妊娠している場合分泌量が減少しないため、PMS(月経前症候群)の症状が継続しやすくなってしまうのです。このことから、妊娠初期症状と生理前症状の違いが分かりにくくなってしまいます。
代表的な症状について
妊娠初期症状と生理前におきるPMS(月経前症候群)は非常に似ているため、見分けがつきにくい部分があります。しかし、多くの女性が感じているそれぞれの症状があるので、ご紹介しておきましょう。
まず、妊娠初期症状として多くの妊婦経験者が挙げるのが、微熱と胸の張りです。いつもより微熱を強く感じたり、身体が火照るように感じたりすることが多く風邪と勘違いするケースも多々あります。
また、胸の張りを強く感じたり、乳頭に痛みを感じたりすることから妊娠と感じる場合が多いようです。
一方、PMS(月経前症候群)に多く取り上げられるのが、下腹部痛と腰痛、そしてイライラです。
鈍痛のような痛みが下腹部や腰に現れることが多く、人によっては日常生活に支障が出ることもあります。また、イライラや涙もろくなるなど情緒不安定になる方も多いようです。
このように、それぞれの代表的な症状はあるとはいえ、妊娠初期症状としてもPMS(月経前症候群)としても確認されるものです。そのため、唯一見分けるポイントは「いつもとは違う」ということになるでしょう。
下腹部の痛みの違い
生理前から生理中の下腹部痛は辛いものがありますね。この痛みの原因はプロスタグランジンという子宮内膜から分泌される成分で、子宮を収縮させて子宮内膜をはがし排出する働きがあります。
またこの成分には発痛作用があるため、多く分泌されるほど痛みも強くなります。妊娠初期症状にも下腹部痛が挙げられますが、実は発生する場所が同じでも理由が異なります。妊娠すると子宮内膜がさらに厚くなって受精卵を守りますが、厚くなった分子宮が膨張するので、その際に痛みが起こります。
生理前の下腹部痛は内側に向かいますが、妊娠時は反対に外側に向かう痛みという違いがあるのです。
風邪と勘違いしやすい

生理前は基礎体温が37度以上になる方もいるので、風邪なのでは?と勘違いしてしまう人が多いです。自分の生理周期が大体わかっている方ならば、この熱っぽさやだるさは生理前だからと分かりますが、妊娠初期の場合は少々異なるため判断がつきにくい部分があります。
妊娠初期は微熱状態が続くのが特徴で、生理前の微熱が4・5日続くとすると妊娠初期は1週間以上にわたるため、自分の体の状態を把握できている方はその違和感に風邪ではないかと考えてしまうのです。ただし37度台ならば高温期の範疇ですが、38度を越えると病気の可能性があるので、まずは病院を受診してください。
痛みが起こる場所の違い
生理前と妊娠初期には痛みが起こる場所が違う事があり、それによって妊娠の可能性を疑った方も多いです。生理前の痛みといえば、下腹部痛や腰痛・頭痛などが挙げられますが、妊娠初期にはこの状態が更に顕著になる傾向にあります。
受精卵の着床後、急スピードで成長する受精卵に合わせて子宮も膨張していきますが、これによって子宮周りの器官や関節が圧迫を受けるため痛みを感じるようになるのです。特に骨盤は子宮膨張の影響を受けやすいので、妊娠時には足の付け根や腰全体の鈍痛に悩まされる方が増えてきます。
その中でも冷え性の方は、靭帯や筋肉の柔軟性がないため余計に痛みを強く感じる事があるので、保温を欠かさないなどの対策に努めましょう。
確実に見分けたい場合は基礎体温
妊娠初期症状と生理前に起きるPMS(月経前症候群)の違いをできるだけ確実に見分けたいという方は、基礎体温をチェックしてみましょう。
基礎体温には身体の情報が反映されていることが多いため、妊娠しているのか、生理前の兆候なのかを見分けることができます。女性の身体は基礎体温が二段階になっており、低温期と高温期が入れ替わりながら巡っていきます。
妊娠初期症状か、生理前のPMS(月経前症候群)のどちらかわからない時期は、高温期に入っていることが多いため、変化が見分けやすいと言えます。
高温期が継続しているようなら妊娠初期症状である可能性が高く、高温期から急激に基礎体温が下がっているようならPMS(月経前症候群)である可能性が高いと言えます。では、なぜ基礎体温にこのような変化が生じるのでしょうか。
プロゲステロンの影響
妊娠初期症状と生理前に起きるPMS(月経前症候群)の違いを見分けるには、基礎体温のチェックがオススメです。基礎体温が高温期になっているか、低温期に向けて下がっているかによってそれぞれの症状を見極めることができるでしょう。では、なぜこのような変化が生じるのでしょうか。
それは、プロゲステロン(黄体ホルモン)の役割が関係しています。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵後から生理が始まるまでの期間分泌されるものですが、受精卵を着床させ育てる役割があります。
受精卵にとって良い環境は体温が高い状態にあるため、プロゲステロン(黄体ホルモン)が作用し、体温を上昇させて高温期を作るのです。しかし、受精卵が成立しなければ体温を上昇し続ける必要がなくなります。そのため、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量は減り、生理を起こして子宮内部を一掃するのです。
ところが、受精卵が成立した状態になれば体温が高い状態をキープする必要があるため、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量は継続し続けます。そのため、基礎体温は高温期が続き妊娠だと気づくことができるのです。
基礎体温でわかる身体のしくみ
基礎体温をチェックすることで、妊娠初期症状と生理前に起きるPMS(月経前症候群)の違いを見分けることができます。
ただ、基礎体温は一度や二度計測しただけではその変化を汲み取ることはできません。毎日継続して計測することで、初めて把握することができるのです。
基礎体温には低温期と高温期があるとご紹介しましたが、その差はわずか0.3℃~0.5℃ほどだと言われています。少しの差ですが、身体にとっては大きな変化です。
排卵日を予測することができるため、妊娠の可能性を上げることができますし、高温期に入ると体調が優れない日が続くと予測できるため、スケジュールに無理がないよう調整することができるでしょう。
さらに、高温期から低温期に切り替わるタイミングを確認できれば、生理が来ると事前にわかることができます。毎日計測することで、身体がどのような状態になっているのか把握できるので、習慣にしていきましょう。
基礎体温の測り方
基礎体温をチェックすることで、妊娠初期症状と生理前に起きるPMS(月経前症候群)の違いを見分けることができますが、排卵日や生理が来る日を予測することも可能になります。ただ、基礎体温は非常に細かい数値なので、正しく計測して記録していくことが重要です。そこで、基礎体温の計測方法について詳しくご紹介しておきましょう。
まず、基礎体温は毎日同じ時間に計測するのが望ましいです。起床した状態は身体が最も安定しているので、起床時間を決めるようにしましょう。起床したら、すぐに体温計を舌下に入れ計測を開始します。舌下に体温計を入れるのは、そこが身体の中で一番安定しているからです。
ワキの下だとずれたり気温に左右されたりするので、できるだけ舌下で計測するようにしましょう。計測し終わったら、グラフとメモに記載していきます。グラフにすることで、低温期と高温期の違いがわかりやすくなりますし、日々の変化を敏感に感じ取りやすくなるでしょう。
基礎体温が安定しない場合
基礎体温には低温期と高温期がありますが、計測していくとキレイに二段階に分かれていないことがあります。通常、低温期と高温期は2週間ほど続いていくものですが、入り乱れてしまうこともあります。
高温期が始まったと思ったら急に低温期並に基礎体温が下がったり、短期間のうちに終了したりしてしまうこともあります。基礎体温が二段階に分かれない場合は、女性ホルモンに異常が出ている可能性があるでしょう。
高温期はプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が盛んですが、ホルモンバランスに異常が出ると分泌量に波が出てきます。そのため、一時的にプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が減少すると、基礎体温も急激に下がってしまうのです。
低温期はエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が盛んですが、こちらも分泌によって基礎体温が左右されることがあるでしょう。
基礎体温がバラバラで、ホルモンの分泌に異常があると感じたときは、病院で診察を受けてみることをオススメします。
不正出血それとも生理?何?
基礎体温がバラバラで、ホルモンバランスに異常がある場合、不正出血が起きることもあります。不正出血とは、生理以外の時期に出血することを良い、ホルモンバランスに異常がある場合に発生しやすいと言われています。
激しい腹痛を伴う不正出血がある場合は、我慢せず少しでも早く病院で診察を受けるようにしましょう。ただ、排卵日から生理前にかけて不正出血が起きた場合、着床出血である可能性もあります。
着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床する際、絨毛が根を張るときに組織を傷つけることから引き起こされるものです。
妊娠初期症状のひとつとしても確認されているので、少量の出血があった場合で、高温期が続いているようなら、妊娠の可能性がきわめて高いと言えるでしょう。
着床出血の特徴とは
生理前に少量の出血があった場合、着床出血である可能性があります。妊娠初期症状と共に着床出血が起き、基礎体温も高い状態が続くようなら、妊娠の可能性がきわめて高いと言えます。
着床出血の特徴としては、ごく少量でおりものに少し血が混じるケースが多いようです。他には、茶色いおりものが出てきたり、鮮血が確認できたりすることもあります。
着床出血はすべての妊婦に起きるものではありません。着床出血がないと妊娠していないということはありませんので、心配する必要はありません。
妊娠検査薬について
妊娠初期症状と生理前のPMS(月経前症候群)の違いは、基礎体温を測ることで見分けることができます。では、妊娠初期症状や着床出血が確認でき、高温期が続いている状態だとしたら次は何をすればよいのでしょうか。
少しでも早く妊娠の有無を知りたいという方は、妊娠検査薬を試してみましょう。妊娠検査薬は尿をかけるだけで妊娠しているかどうかをチェックできるものですが、反応するのは生理予定日から1週間経ってからになります。
妊娠検査薬でチェックするのが早すぎると、陽性反応が出ないこともあるので早とちりしないようにしましょう。また、妊娠検査薬で陽性反応が出たとしても、まだ着床が安定していない状況なので産婦人科に行った時には流れてしまっていることもあります。
妊娠検査薬はあくまで簡易検査のものなので、産婦人科できちんと検査してもらい心拍を確認してから喜ぶようにしましょう。
まとめ
妊娠初期症状と生理前の違いについて詳しくご紹介しました。それぞれの違いを確認するためには、基礎体温でチェックするのがイチバンです。
基礎体温は毎日正しく計測していくことが重要なので、少しでも早くスタートさせておくようにしましょう。また、基礎体温を測ることでホルモンバランスの異常を察知しやすくなります。
妊娠初期症状と生理前のPMS(月経前症候群)を混同しないためにも、基礎体温を毎日続けるようにしてください。