
普段はぴったりの指輪がきつくなる。靴が窮屈に感じられる。顔がむくんでしまう。体重が増える。ふくらはぎがぱんぱんに膨らむ。これらはすべて生理中によく見られるむくみの症状です。普段はむくみの症状がほとんど出ない方でも、生理中になるとなぜか顔や体がむくんでしまうことがあります。
生理中になるとむくみが出る理由は何でしょうか?生理前から生理中、そして生理後まで、女性の生理に関わることはすべて女性ホルモンの分泌と深くかかわっています。生理周期とともに変化する女性ホルモンの分泌量。エストロゲン(卵胞ホルモン) とプロゲステロン(黄体ホルモン)の二つの女性ホルモンは、一定のリズムを保ちながら、周期的に増減を繰り返します。
生理中のむくみの原因から対処法まで、生理中のむくみに関して幅広くご紹介していきますので、参考にしていただければと思います。
生理中のむくみと女性ホルモンの関係とは?
生理中に顔や手足がむくむ原因は、女性の生理機能にあります。女性の体は一定の周期を保ちながら、規則的な変化を遂げています。
生理周期にしたがって、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、規則的に分泌の増減を繰り返します。
エストロゲンの特徴とは?
エストロゲンとプロゲステロンは生理周期に従って、規則的に分泌量が変化します。まずはエストロゲンの特徴から見ていきましょう。エストロゲンは美のホルモンと呼ばれるくらい、女性にとってはありがたいホルモンで、皮膚や髪質を整え、女性らしい美しさをもたらします。
エストロゲンの分泌が活発な時期は、心身ともにベストコンディションでいられる貴重な時期。エストロゲンの分泌が盛んな時期は、卵胞期と呼ばれ、ダイエットに最適な時期になります。体が水分や養分を蓄えようとする黄体期と異なり、卵胞期にはダイエット効果も着実に上がります。
エストロゲンの分泌量が盛んな時期とは?
生理周期が28日間の方の場合、エストロゲンの分泌がもっとも多くなるのは、生理開始一週間前後から排卵日までになります。排卵日前後に分泌量がぐんと減りますが、その後再び分泌量は増加します。
プロゲステロンの特徴とは?
プロゲステロンは黄体ホルモンとも呼ばれ、その主な機能は妊娠を助けることにあります。子宮内膜に養分たっぷりの血液を集め、子宮内膜を着床しやすい環境に整えていきます。着床・妊娠に絶対欠かせないホルモンで、プロゲステロンの分泌量が少ないと黄体機能不全になり、妊娠しにくい体になってしまいます。
プロゲステロンは女性の生理機能にとっては、なくてはならない大切なホルモンですが、黄体期にはその機能ゆえに、体に水分や養分が蓄えられやすいというデメリットがあります。
排卵後以降の2週間は、どんなに頑張ってダイエットを行っても、成果はあまり上がりませんが、これはプロゲステロンの分泌が優勢なため。生理中のむくみや体重の増加は、プロゲステロンの影響といっても過言ではありません。
プロゲステロンの分泌量の変化
プロゲステロンの分泌量のピークは排卵日の約一週間後。この時期をピークに、分泌量は前後一週間の波型を描きます。つまり排卵日から徐々に分泌量が増えはじめ、一週間後前後に最大になり、その後生理開始まで分泌量は徐々に減っていきます。
エストロゲンは生理周期の中で波型の曲線を二度描きますが、プロゲステロンの場合は、排卵日から生理開始まで、大きな波型の曲線を一度描きます。
むくみの症状がもっとも出やすいのは、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が多くなる排卵後から生理前までになります。生理が始まるとプロゲステロンの分泌量は徐々に減ってきますが、排卵後一週間前後に再び分泌量がやや増え、その後下がり始めます。
生理中にむくみはの原因は?
生理中はプロゲステロンの分泌量が減るのになんでと思いますが、生理中のむくみの原因は生理前の症状を引きずることが考えられます。
プロゲステロンの分泌が多い生理前に、体は水分や養分を蓄えやすくなり、生理中に水分を処理しきれなくなりむくみや体重増加につながる、という仕組みです。
むくみとは?
むくみの正式名は浮腫。浮腫とは静脈やリンパを流れる老廃物や水分が体外にうまく排出されずに、そのまま留まってしまう状態を指します。体の冷えにより血流が悪化すると、老廃物や水分がうまく流れ出せず、皮膚の下に水分が溜まってしまいます。
むくみの部分を指で押すと、そのまま指のあとがくっきりと残り、しばらく消えない、こんな場合は確実にむくみが生じているといえるでしょう。
生理中にむくみの出やすい部分とは?
むくみが出やすいのは、指、腕、顔、ふくらはぎ、足首など。この中でもとくに気になるのがふくらはぎと顔の部分、顔は皮膚が薄く、むくんでいることが周囲の人にもすぐに分かってしまいます。
顔の中でもまぶたは皮膚が非常に薄く、むくみが出ると腫れぼったくみえます。また朝起きたばかりのときも、顔にむくみが出やすくなります。
ふくらはぎのむくみ
ふくらはぎには、心臓から送り出された血液を筋肉の力により、再び上半身に押し戻すという重要なはたらきがあります。
ふくらはぎの筋肉の力で、いわばポンプのように、血流を押し戻すことにより、血管の流れを正常に保ちますが、長時間立ったままの作業をしていたり、運動不足などにより筋力が低下していると、ふくらはぎのポンプとしての機能が低下し、その結果むくみになってあらわれます。
むくみが出やすいタイプ
生理中の不快な症状といえば、頭痛、下腹部痛、イライラ、下痢、吐き気、むくみなどになりますが、これらの生理中の症状のあらわれ方には個人差があります。生理周期が正常で、女性ホルモンの分泌量が適正であり、且つ他にこれといった病気を抱えていない方は、月経前症候群や生理痛も比較的軽く済みます。
これとは反対に、生理中にむくみの出やすいタイプを挙げてみましょう。女性ホルモンの分泌が過剰・過少な方、生活リズムが不規則な方、慢性的に過激なダイエットを行っている方、運動不足で筋力が落ちている方、外食やインスタント食品を食べることが多い方、ストレスを多く抱えている方、アルコールの摂取量の多い方、塩分や濃い味の料理を好む方、このようなタイプの方は生理中にむくみが出やすいので、注意が必要です。
生理中のむくみを取る方法とは?
今度はむくみを手っ取り早く取る方法について見ていきましょう。顔、腕やふくらはぎがむくんで辛いときにぜひ実践していただきたい方法になります。生理中にむくみが出て困ったときに、必ず役に立つ方法ばかりですので、覚えておくようにしましょう。
ふくらはぎのむくみは足湯で解消
ふくらはぎがぱんぱんに膨らんで痛い、こんなときは足湯でふくらはぎや足全体の血行を良くしていきましょう。血行を良くする効能のあるアロマオイルを数滴入れると、さらにむくみ取りの効果がアップします。
外出先から帰宅したときや、手足の冷えが良くならないときは、足全体がだるく疲れが取れないときなど、むくみ解消だけでなく、足湯は体全体の血流を良くし、気持ちをリラックスさせてくれます。
入浴は半身浴でじっくり体を温める
冷えや血行不良によるむくみは、血行を良くすることでかなり緩和できます。入浴をシャワー済ませるのはやめて、じっくり浴槽につかり、体を内側からじっくり温めるようにしましょう。
熱すぎるお湯ではなく、ややぬるめのお湯にじっくりつかる半身浴がお勧め。半身浴なら心臓にかかる負担も少なく、ぬるめのお湯につかるのでのぼせることもありません。またじっくりと体を温めるので、入浴後に湯冷めする心配もなく、ダイエットや美容にも効果的といわれています。
血行促進に抜群の効果をもたらす半身浴、むくみの症状が気になる方はぜひ毎日実践してみましょう。みぞおちの部分から下の部分だけをお湯につけ、最低でも20分間は入浴するようにしてください。
ツボ押しやマッサージで刺激
むくみの気になる部分を丁寧にリンパマッサージしましょう。素手でマッサージを行うと皮膚を傷めますので、必ずマッサージオイルを使用してください。マッサージは入浴中に行っても構いません。
ふくらはぎにはツボが集中しています。マッサージをしながら、押すと気持ちいいポイントを見つけましょう。リンパの流れに沿って少しずつ指をずらしながら、ふくらはぎ全体を適当な力で刺激していきます。ふくらはぎ以外にも、腕や手のひらなど、むくみが気になる部分をツボマッサージすると、足が一回り小さくなるほどほっそりします。
むくみを予防する方法とは?
むくみはいったん起こってしまうと、すぐに改善することは難しく、応急処置では症状はなかなか改善されません。
生理中にむくみやすいのはある意味仕方ないことはありますが、それでも生活習慣や食習慣をちょっと変えるだけで、むくみを予防することは可能です。
むくみに効果のある食べ物
むくみに効果のある食材をたくさん取り入れるようにしましょう。むくみの改善に効果があるとされる栄養素の代表はカリウムやサポニン。他にビタミンB群やポリフェノールなどにも、むくみ改善効果があります。すいかやきゅうりなどのウリ科の野菜には、サポニンが豊富に含まれます。
他には大豆や大豆関連製品、ナッツ類、海藻類、アボカド、グレープフルーツ、プルーン、あさりなど、野菜から果物まで実にさまざまな食材を挙げることが出来ます。一つの食材だけを食べるのではなく、たくさんの食材を少しずつ取り入れたほうが効果のほどもアップします。
食材から栄養素を確保することが難しいようであれば、サプリの摂取も考慮してみましょう。慢性的にサプリだけに頼るのはあまり望ましいとはいえませんが、むくみの症状がひどい場合には応急処置的に摂取してみるといいでしょう。
運動不足の解消
運動不足により、ふくらはぎや腕の筋力が低下するとむくみやすくなります。筋力が低下しないよう、毎日の生活に適度な運動を取り入れましょう。
運動不足はまた体の血流の悪化や代謝機能の低下にもつながります。激しい運動を行う必要はありませんが、特に第二の心臓と呼ばれるふくらはぎの筋力を低下させないよう、最低限の運動をこなすようにしましょう。ウォーキングやストレッチ、体操やヨガなど、すぐに始められ、続けられそうなものを選ぶことがポイントです。
アルコール、たばこの摂取を考える
アルコールやたばこもまたむくみを誘発する原因になります。アルコールをたくさん飲んだ日の翌朝は、顔がむくんでいることがよくあります。アルコールの摂取がむくみの原因になるメカニズムは、アルコールの分解に関係があります。
アルコールとむくみの関係とは?
アルコールを分解するにはたくさんの水分が必要とされます。体内のアルコール濃度が急に高くなると、これを分解するために体内の水分が使われてしまい、体は一時的に脱水症状に似た様相を呈します。
この状態を回避するため、体はさらに水分を欲しがり、その結果水やアルコールをたくさん飲んでしまう、これがアルコールによってむくみが起こる仕組みになります。
アルコールとたばこのもたらす弊害
またたばこやアルコールは飲み続けていると、やがては腎臓の機能を低下させてしまいます。むくみとは直接の関連はありませんが、生理の前にアルコールを飲むと、生理のはじまりが遅れるという話もよく耳にします。
生理中にアルコールを飲むと、むくみの症状がさらにひどくなる恐れもあります。アルコールやたばこの摂取は量をほどほどにするように注意してください。
規則的な生活習慣
不規則な睡眠時間や睡眠不足、夜更かし、暴飲暴食、過激なダイエット、過労やストレス、栄養バランスの偏った食事、運動不足、アルコールやたばこの飲み過ぎ。挙げていくときりがありませんが、生理機能の低下につながる悪しき生活習慣を見直すようにしましょう。
生理中のむくみの解消を目指すのであれば、まずは体調を整え、心身ともに健康な状態を目指すことが必要です。
まとめ
生理中に起こるむくみについて、原因から対処法まで、知っておきたいポイントをご紹介しました。
普段はぴったりの靴や指輪が生理中はなぜかきつく感じられる、顔やふくらはぎ、足首・手首がむくんで困っている、生理中に体重が必ず増えてしまう。こんなときに参考にしてもらいたい情報をまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。