
毎月のように生理痛に悩んでいる人のことを見ると、ちょっとうらやましいと思ったことはありませんか?生理不順で悩んでいる方にとって、毎月規則正しく生理が来るということはとても嬉しいことなのです。
何ヶ月も生理が来なかったり、月経・生理周期が短かったりすると生理不順となりますが、具体的な日数などを知らないという方は実は多いのです。
自分は大丈夫と思っていたけれど、実は月経不順(生理不順)だったと発覚する場合もありますので、もう一度生理の仕組みについて再勉強していきましょう。生理不順に関するさまざまな情報もご紹介していきますので、是非参考にしてみてください。
正常な生理周期について
自分は生理不順かもしれないと思っていても、生理不順かどうかを知るためには、まず正常な生理周期やその仕組みを理解する必要があります。
まず、日数についてですが、生理周期として正常とされている範囲は、25日~38日間となっています。
また、生理が始まってから終わるまでの期間については、正常とされている範囲は、3日~7日間です。
これを目安に、生理不順かどうかを判断しているのです。
月経・生理周期が短い場合
正常な月経・生理周期や月経日数を知ることで、自分の生理周期と照らし合わせることができます。
月経・生理周期が24日以下と短くなっている場合、「頻発月経」となります。頻発月経は生理不順のひとつで月経日数が短く終わることが多く、生理が2日ほどで終わることもたびたびあります。
月経日数は3日~7日が正常な範囲ですが、2日以下で終わる場合は「過短月経」となります。生理周期が正常な範囲内でも、過短月経なら生理不順となるでしょう。
月経・生理周期が長い場合
月経・生理周期が39日以上と長くなっている場合、「稀発月経」となります。稀発月経は生理不順のひとつで、月経日数が短く終わることもあれば、ダラダラと長引く場合もあります。
月経日数は3日~7日が正常な範囲ですが、8日以上生理が続く場合は「過長月経」となります。生理周期が正常な範囲内でも、過長月経なら生理不順となるでしょう。
月経・生理が起きるしくみは?
女性の身体には、基本的に28日くらいを周期に生理が巡ってきます。しかし、人によって生理周期に差が出てきたり生理不順になったりするのは何故なのでしょうか。
それは、生理周期をコントロールしている女性ホルモンの働きに違いがあるからです。女性ホルモンとはどのような働きをしているのか、詳しく説明していきましょう。
女性ホルモンとは?
生理が毎月必ず訪れるのは、女性ホルモンの働きが正しく行われているからです。女性ホルモンにはさまざまな種類があり、生理周期関係してくるものとしては、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)があります。
女性ホルモンの種類によって、活発に分泌されている期間が異なり、働き方にも違いがあります。それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
黄体ホルモンが活発になる時期
生理をコントロールしている女性ホルモンのひとつに黄体ホルモンがあります。プロゲステロンと表示されることもありますが、具体的にどのような働きをしているものなのでしょうか。まず、分泌されている期間から見ていきましょう。
黄体ホルモンは基本的にいつも分泌されている状態ですが、排卵後から生理開始直前までの期間に最も活発になります。
生理周期は月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の4つにわけられており、黄体ホルモンは排卵期~黄体期に活発に分泌されていることになります。
黄体ホルモンはどんな働き?
生理をコントロールしている女性ホルモンのひとつに黄体ホルモンがありますが、実際に身体の中でどのような働きをしているのでしょうか。黄体ホルモンには2つの重要な働きがあり、ひとつは排卵のきっかけを作ります。
排卵は、卵胞ホルモンがたくさん分泌されている時に、黄体ホルモンが分泌されることで発生します。卵子が無事に排卵されると卵胞ホルモンは緩やかに減少し、代わりに黄体ホルモンの分泌が増えていく仕組みになっているのです。
また、もうひとつの働きとして、黄体ホルモンは卵子が受精し、着床できるように子宮の環境を整えているのです。
受精卵を育てるための働き
黄体ホルモンには、2つの重要な働きがあり、排卵のきっかけと卵子が受精し着床できるように子宮の環境を整えています。受精卵が安定して着床し、育つためには子宮内膜の組織を厚くし、温度を少し高めの状態にする必要があります。
黄体ホルモンの働きで体温は上昇し、平熱時に比べると0.3℃~0.5度も上昇するのです。そのため、黄体ホルモンが分泌されている時期は、微熱や気だるさを感じることが増えてきます。
受精卵が成立しなければ、子宮内膜の組織は不要になり、体温も平熱に戻す必要があります。そのため、生理が開始される直前に黄体ホルモンの分泌は急激に減少するのです。
卵胞ホルモンが活発になる時期
生理をコントロールしている女性ホルモンのひとつとして、卵胞ホルモンもあります。卵胞ホルモンはエストロゲンと呼ばれることもあり、生理が終わってから排卵する直前まで活発に分泌されます。
月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の生理周期なら、卵胞期~排卵期の時期です。排卵後は緩やかに分泌量が減り、生理直前に黄体ホルモンと共にもう一度分泌量が減ります。
卵胞ホルモンはどんな働き?
生理をコントロールしている卵胞ホルモンは、身体の中でどのような働きをしているのでしょうか。卵胞ホルモンには2つの働きがあり、ひとつは卵巣にある原始卵胞のひとつを発育させ、排卵するまでサポートする働きがあります。
もうひとつは、排卵された卵子が受精や着床に性交しやすいように、子宮内膜の組織に厚実を増やしていく働きをしていきます。
卵胞ホルモンは、子宮内膜の組織を維持するために働き続ける必要があるため、排卵後に急激に減少することはありません。受精が起きず、次の生理が準備されることで、黄体ホルモンと共に初めて大きく減少していくのです。
気になる月経期について
月経・生理周期は、基本的に生理周期は28日で巡り、高温期と低温期で半分ずつ分けられています。
月経・生理周期は、月経期、卵胞期、排卵期、黄体期で構成されていますが、月経期の前には黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌が一気に減少します。
そのため、月経期にはそれぞれのホルモンは活発に活動せず、代わりにプロスタグランジンという物質が活発に分泌されます。プロスタグランジンは、子宮内膜の組織や経血を身体の外に出すために必要な物質で、子宮周辺を大きく動かす働きをしています。
プロスタグランジンが活発に分泌されると、子宮が激しく動いてしまうため、生理痛の症状が悪化してしまうこともあるでしょう。
月経・生理不順になる原因は
基本的に生理周期は28日で巡り、黄体ホルモンと卵胞ホルモンがバランスよく分泌されています。生理不順になりやすいという方は、それぞれのホルモンが分泌されるバランスが大きく崩れてしまっている可能性があるでしょう。
片方のホルモンが分泌される期間が長めになったり、活発に分泌される期間中に大きく分泌量が減ったりすることで、月経・生理周期は乱れていきます。
ホルモンが正しく分泌されなければ、排卵が起きなかったり、生理が遅れたりすることが増えてくるため、どんどん生理不順が加速していってしまうのです。
ホルモンバランスは何故乱れる?
月経・生理不順になるのは、生理をコントロールしている黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌バランスが乱れているからです。では、何故ホルモンの分泌バランスが乱れてしまうのでしょうか。
ホルモンの分泌は、実は大脳でコントロールされています。視床下部から脳下垂体へ、脳下垂体から卵巣へと信号が送られることで、正しくホルモンが分泌されるメカニズムとなっているのです。
しかしどこかで信号が遅れたり乱れたりすると、ホルモンの分泌バランスを大きく崩してしまいます。それぞれ重要な役割を担っているので、簡単にご紹介しておきましょう。
視床下部について
視床下部は、身体全体に分泌されている女性ホルモンの量をチェックしています。血液中に含まれる女性ホルモンの量を把握し、それに合わせて分泌量をコントロールすることで、必要なホルモンの分泌バランスを維持することができているのです。
視床下部がホルモンの量を把握できなくなったり、指示にミスが生じたりすれば、たちまち分泌バランスは乱れ、月経・生理不順に陥ってしまうでしょう。
脳下垂体について
脳下垂体は、視床下部から送られてきた信号を受け取り、卵巣に伝達する働きをしています。視床下部からの信号は、脳下垂体により黄体化ホルモンや、卵胞刺激ホルモンとして卵巣に指示されます。
いわば、中継地点の役割を担っていると言えるでしょう。双方が円滑に機能するために重要なポジションですから、ここに不具合があることで必要な情報が遮られてしまうことがあります。
卵巣について
卵巣は、脳下垂体から送られてきた黄体化ホルモンや、卵胞刺激ホルモンの指示に従い、黄体ホルモンや卵胞ホルモンを分泌します。
卵巣がきちんと指示を受け取れなかったり、正しくホルモンを分泌できなかったりすると、ホルモンの分泌バランスは崩れ、生理不順が起きてしまうでしょう。
卵巣そのものに問題がある場合、生理不順が起きやすくなるため、生理不順から卵巣の病気を発見されることもあります。
ストレスに注意
月経・生理不順になるのは、生理をコントロールしている黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌バランスが乱れるからです。ホルモンの分泌は、視床下部、脳下垂体、卵巣でコントロールされていますが、どこに不具合が生じても生理不順は起きてしまいます。
それぞれの働きに不具合を与えるものとして、最も気をつけたいのがストレスです。大脳がストレスを受けると、最初から信号が乱れホルモンの分泌バランスが崩れてしまうからです。育児、仕事、人間関係など現代社会にストレスはつきものですが、抱え込みすぎないことが大切です。
生理不順がおきやすい年代の特徴
生理不順は偏食・寝不足・ストレスなどが原因で起こりますが、卵巣機能の関係でホルモンバランスが不安定になった場合にも生理不順は起こります。
卵巣機能が安定していないのは10代の女性で、特に初潮から17歳までは生理不順が当たり前で、きちんと生理周期があって毎月生理が来るのは少ないです。
もう1つ生理不順が起きやすいケースは、女性ホルモン分泌量低下が始まる30代後半のプレ更年期に当てはまる方です。ホルモン分泌は一気にストップするわけではなく次第に低下するので、そこにストレスや疲れが加わると、今までにはなかった生理不順が起きやすくなるのです。
10代の方は後に安定してくるので心配要りませんが、プレ更年期の方は良い機会ですから、生理不順対策を始めてみてはいかがでしょうか。
脳が排卵機能をストップさせる月経・生理不順
ダイエットは生理不順の原因になるとは良く聞きますが、ダイエットをしている方全員が生理不順になるわけではありません。生理不順につながるダイエットの特徴は「短期間で大幅な体重減少」で、急激に栄養が不足するため脳が飢餓状態になったと勘違いして、生命維持には必要のない排卵機能を停止させてしまうのがその理由です。
この脳の勘違いを防ぐには、体重減少を毎月1kg程度にしておくのがポイント。また、体脂肪のなさすぎも生理不順の原因で、体脂肪率が18%以下の女性は18%以上の女性よりも生理不順になる確率が高いと言われています。やせたい気持ちは分かりますが、まずは自分の体に負担のないダイエットにすべきでしょう。
低用量ピルで分泌量を調節
月経・生理不順になりやすい方は、視床下部、脳下垂体、卵巣などどこかの指令が滞っていることから、ホルモンの分泌量が乱れている可能性があります。ストレスをためないことが大切ですが、ストレスをゼロにするのは不可能に近いと言えます。
では、どのようにしてホルモンの分泌バランスを整えればよいのでしょうか。ホルモンのバランスは、低用量ピルで整えることができます。
産婦人科で処方してもらい、適切に服用することで少しずつ生理不順のサイクルを解きほぐしていきましょう。なかなか生理周期が整わなかった方も、低用量ピルを使用することで毎月決まった時期に生理を起こすことができます。
薬の力を使っているので、少し心配な方もいらっしゃるかもしれませんが、生理不順が続くと精神的なストレスも蓄積してしまいますので、上手に活用するようにしましょう。
月経・生理不順と病気の関係
生理不順は、ホルモンバランスでも引き起こされますが、病気によって発生することもあります。それまできちんと生理が来ていたのに、急に生理不順が起き始めたときは注意が必要です。
卵巣や子宮内膜など、生理に関する器官に不具合が生じている可能性があります。
生理痛がひどくなって来たり、不正出血が続いたりしたときも病気の可能性を考え、早めに産婦人科を受診するようにしましょう。子宮に関する病気は、早めに発見して適切な治療を受けることが大切です。
放置しておくと不妊の原因となる可能性もあるので、ちょっとでも不安がある場合は速やかに病院へ行くようにしましょう。
まとめ
月経・生理不順についてさまざまな情報を幅広くご紹介しました。生理が起きるメカニズムを理解し、何が原因で生理不順になっているのかを知ることが大切です。
原因不明のままでいると、不安やストレスが蓄積しますます生理不順を悪化させてしまうことがありますので、自分の生理周期をもう一度確認してみましょう。そして適切に対処し、治療をしていくことで生理不順という問題を1日も早く解決していってくださいね。