
女性の身体は、産まれてから年齢を重ねるまでさまざまな変化をしていきます。身体の骨格や内臓などの成長が整っていくと、次のステップとして「初潮」が待ち受けています。
今までは女の子として成長してきたのが、初潮を迎えることにより女性として成長していくことになりますが、初めてのことに戸惑い、不安に感じることもあるでしょう。
初潮って何?初潮の兆候にはどんなことがあるの?初潮のサインは何でわかる?初潮を迎えたら何をすべき?など、さまざまな疑問が浮かんでくることと思います。そこで、初潮についてさまざまな情報を幅広くご紹介していきますので、参考にしていただければと思います。
初潮って何?
女の子が成長する上で、避けては通れない「初潮」ですが、そもそも初潮とはいったい何なのでしょうか。
初潮とは、初めて生理が身体に起きることを言います。子宮や卵巣が十分に育ち、機能し始めたことから初潮は引き起こされますが、大人として赤ちゃんが埋める準備が進んでいますよというサインでもあります。では、具体的に初潮はどんなメカニズムから引き起こされるのでしょうか。
初潮のメカニズムについて
女の子が成長する上で通過する「初潮」ですが、初潮はどのようなメカニズムによって引き起こされるのでしょうか。初潮は脳から指令されるもので、視床下部、下垂体、卵巣へと信号が送られ、女性ホルモンが分泌されることにより引き起こされます。
通常の生理なら、卵子が排卵され、受精しなかった場合に生理が起きますが、初潮が起きてからしばらくの間は、排卵は起こらないのが通常です。
初潮を迎えると赤ちゃんが産める体になるとイメージされますが、しばらくの間は生理周期は安定しせんし、無排卵出血(排卵しない)となる場合が多いです。初潮を迎えてから1年~5年ほど経つと排卵が安定して起きるようになり、生理周期も安定してきます。排卵が安定するのは個人差があります。
初潮の年齢について
女の子なら、初潮を迎える年齢が気になるところです。周りに比べて初潮が遅かったり、早かったりすると身体に異常があるのではないかと不安になります。
初潮を迎える年齢としては、12歳が平均となっています。早い女の子なら9歳くらいから初潮を迎えることもありますし、遅めの女の子なら15歳くらいに初潮を迎えることもあります。
ただ、16歳までに初潮が来ない場合、産婦人科を受診した方が良いでしょう。16歳~17歳くらいに初潮が来る場合は「遅発初経」となります。
また、18歳になっても初経が来ない場合は「原発性無月経」となります。原発性無月経の場合、染色体異常や性管分化異常、脳腫瘍などが関係している可能性があります。
また、急激なダイエットを行うと初潮が遅れたり来なかったりすることもあるため、10代のうちに激しいダイエットは行わないようにしましょう。
初潮を迎えるときの体形
初潮を迎える年齢としては、平均が12歳となっていますが、9歳~15歳くらいまでに初潮を迎えることがほとんどです。人によって初潮が来る年齢に差が生じてしまうのは、身体がまだ成熟していないからです。
初潮は、子宮や卵子が成熟し、女性らしい体型に変化し始めることから発生します。女性らしい体型に変化するのは、女性ホルモンの分泌が始まっていることの現れで、乳房にふくらみが出はじめたり、恥毛が生えてきたりします。
また具体的な体型としては、身長が150cm前後、体重は42kg前後、体脂肪率は17%前後、骨年齢が12歳3か月を過ぎたころになると初潮が始まると言われています。
初潮の前兆について
初潮を迎える年齢や、体型についてご紹介しましたが、その他にもそろそろ初潮が始まるかもしれないという前兆があります。
まず、肌質に変化が生じてきます。脂っぽくなってきたり、乾燥してきたり、ニキビなどの肌トラブルなども生じやすくなるでしょう。人によっては髪質が変化してくることもあります。
そして、おりものが増えてくるようになるでしょう。下着におりものがついて来たり、洗濯した下着におりものが残ったりすることで気づくようになります。
また、食べる量は変わらないのに身体全体がふっくらとしてきます。その他に、頭痛がしたり、微熱が続いたり、鼻血が出たりすることもあります。
このような兆候が見られたら、初潮の前兆である可能性が高いと言えるでしょう。
初潮の特徴について
初潮では、生理と同じように赤い血が出てくると思いがちですが、実は大きく異なります。初潮として確認される色として最も多いのが茶色で、下着についていることから発覚することがほとんどです。
チョコレートのように茶色いので、初潮を迎えたと気づかない場合もあります。量はさほど多くないので、漏れを心配する必要はありませんが、不快感が出ないようにこまめに変えるようにすることがポイントです。
初潮の準備について
初潮を迎えると、何をどうしていいのか戸惑ってしまいがちです。ナプキンはいつ変えるのが良いの?生理で具合が悪いときは何と言えばいい?と不安はどんどん膨らんでしまいます。
まず、ナプキンについてですがこまめに変えるようにしましょう。2時間経過したら新しいナプキンに変えるようにし、トイレで生理の汚れが確認できた時も交換するようにします。
ナプキンをそのまま手に持ってウロウロすると、周りの視線を集めてしまいますので、小さめのポーチやポケットに入れたり、ハンカチに包んだりするようにしてください。
生理で具合が悪いときは、「お腹の具合が悪い」と言って休ませてもらうようにしましょう。女性の先生なら理由を言いやすいですが、男性の先生だと理由を言いにくいので、生理という原因だけ伏せて、お腹や体調の具合が悪いと伝えれば十分です。
サニタリーショーツのススメ
初潮を迎えるとナプキンを使い始めますが、普通のショーツだと着替える時に見えたりしないか気になってしまいます。また、ちょっとした動きで漏れてしまわないか心配になりますよね。
そんな時はサニタリーショーツを試してみてください。サニタリーショーツなら、ナプキンを着用していても外から見えませんし万が一漏れが生じたときでも外に染み出ることはないので安心です。
最近は可愛い色やデザインのものも増えてきているので、自分好みのサニタリーショーツを選んでみるのも良いでしょう。
初潮が来ない理由
周りの友達にどんどん初潮が訪れると、自分はいつになるのだろうと焦ってしまいがちです。特に、中学生に入ったころから周りと自分を比べて、初潮が来ない事をコンプレックスに考えてしまうこともあるでしょう。
初潮が訪れる時期には個人差があるため、自然と来るのを待つのがイチバンですが、初潮が遅れやすい行動をしている可能性もあります。
例えば、過激なダイエットをして身体に必要な栄養や脂肪が足りていないと、初潮はどんどん遅れてしまいます。ダイエットによる初潮の遅れは、「体重減少性無月経」と言われ深刻な問題とされていますので、思春期の時期にダイエットを行うことはできるだけ止めるようにしましょう。
また、激しすぎるスポーツをしている場合も、初潮が遅れる傾向にあります。長距離ランナーで走り込みのトレーニングをしすぎると、一度初潮が来ている女性でも生理がストップしてしまうので、トレーニングのしすぎには注意するようにしてください。
そして、骨年齢も初潮に大きく関係しています。骨年齢が12歳3か月になると初潮が始まると言われていますが、栄養が不十分でカルシウムが不足しているとその分初潮の時期は遅れてしまいます。偏食が多い場合や、好き嫌いが多い場合は注意が必要です。
生理痛について
初潮を迎えると、身体にさまざまな変化が生じてきます。初めての出来事に不安になることもあるでしょうから、どんな症状が身体に現れやすいのか、事前に学んでおきましょう。
初潮では、まだ排卵が行われていないため生理周期は不規則になります。そのため、ホルモンバランスも安定せず身体の不調も生じやすくなってしまうでしょう。
生理中は不快感が増えやすいだけでなく、下腹部痛や腰痛に悩まされることが増えてきます。お腹や腰回りに痛みが生じるのは、血液を外に押し出そうとする働きがあるからです。
生理中は、子宮内部にある血液が外に出てきますが、勝手に出てくるのではなくポンプのように押し出されています。そのため、子宮周辺の筋肉が強制的に動かされ、痛みとして感じやすくなるのです。
子宮周辺の筋肉が活発に動くことから、胃が刺激されて吐き気を感じたり、腸が刺激されて下痢や便秘になったりすることもあります。
女性ホルモンの影響
生理痛として、下腹部痛や腰痛などをご紹介しましたが、これは子宮周辺の筋肉が強制的に動かされることが影響されています。しかし、その他に生理中の微熱や頭痛などに悩まされる場合もありますが、これは何が原因なのでしょうか。
このような症状は、女性ホルモンによって引き起こされています。女性ホルモンは初潮のスイッチを入れる役割を行うだけでなく、その後も排卵や生理の周期をコントロールしていきます。
しかし、その働きの中で身体にさまざまな影響を及ぼすことがあるのです。例えば、黄体ホルモンには体温を上昇させる働きがあるため、生理が始まる前になると微熱が出たり、生理中も頭がボーっとしたりするなどの症状が出ることがあります。
女性ホルモンの分泌が活発になりすぎると、症状も悪化してしまうため、コントロールすることが必要になります。では、女性ホルモンをコントロールするためには、何に気をつければよいのでしょうか。
女性ホルモンをコントロール
初潮がおきてからしばらくの間は、女性ホルモンの分泌は安定してないことが多いため、生理痛などの症状が起きやすくなります。しかし、さまざまなことに気をつけることで、女性ホルモンをある程度コントロールすることは可能です。
例えば、睡眠時間に気を付けてみましょう。夜遅い時間に眠っていると、身体だけでなく脳も十分に休めなくなってしまいます。
女性ホルモンは脳からの指令により分泌されるものですから、十分な休息を取れず調子も優れない状態だと指令が乱れてしまうようになります。
また夜寝る時間が遅いと朝早くに起きられなくなるため、朝日を浴びて体内時計をリセットしにくくなります。体内時計が狂い始めると、女性ホルモンのコントロールがより乱れてしまうので、早寝早起きを心掛けるようにしましょう。
食事に注意
初潮が起きてからしばらくの間は、生理痛やホルモンバランスの乱れに振り回されてしまいがちです。もし、チョコレートやケーキなど甘い洋菓子が好きな場合は、少し控えめにするようにしましょう。
洋菓子にはたっぷりの糖分と脂分が含まれています。これを同時に摂取してしまうと、血液はドロドロになって血流が悪くなり、生理痛の症状をより悪化させてしまうことがあるので注意しましょう。
また、食事においても洋食が多く脂っこい食事ばかりしていると、せっかく洋菓子をがまんしていても意味がありません。1日に摂取する脂やカロリーをコントロールし、女性ホルモンが安定しやすいようにしていきましょう。
ゆっくり休む大切さ
初潮が起きて身体に変化が起きると、今までできていたことが急にできなくなることがあります。勉強に集中できなくなったり、イライラしたり、食べるのをがまんできなくなることもあるでしょう。そんな時は、無理をせずゆっくりすることを大切にしてください。
頑張れば頑張るほど身体は辛くなってしまいますので、「生理がきたらゆっくりする」と決めてしまうのもひとつの方法です。後は、好きなドラマや漫画をみたり、友達とおしゃべりしたりしながら楽しく過ごせるようにしていきましょう。
親も一緒に準備を
学校で生理に関する指導があったとしても実際にはまだ分からない事ばかりですから、親も一緒に準備をしていけると安心して体の変化を受け入れられるでしょう。
例えば初潮までにナプキンやショーツなど生理用品が必要ですが、どんなものがいつ・どれくらい必要なのか、どうして必要なのかを簡単に親が説明できると納得して自分の行動にあったものを選んでいけるようになります。
それから生理痛の対処法や生理周期をチェックする方法なども教えておくと、過剰に痛みを怖がったり生理をただ煩わしいものと捉えるような事がなくなります。
こういった話題に父親は立ち入れないものですが、もし伝える場合はどのように伝えるべきかを本人に確認してからの方が良いでしょう。
はじめての生理痛の薬 鎮痛剤の選び方
最近は生理痛用と大きく書かれている鎮痛剤も多く市販されているので、色々試して自分に合ったものを見つけると便利です。鎮痛剤は痛くなってからではなく、生理が始まったら痛くなくても決められた時間毎に飲むのがポイントです。
生理痛時に服用するのは大体消炎鎮痛剤ですが、その薬で効き目が無い場合は消化器官の痙攣を抑える薬を試してみましょう。
生理痛は子宮の収縮によって起こるものですから、同じ動きをする胃腸鎮痛鎮痙薬の方が効果的だという方もいます。この薬も市販されていますが、どれを選べばよいか分からないという方は、病院で処方してもらうかお母さんや周りの成人女性に聞いてみてはいかがでしょう。
相談は思春期外来へ
生理が来るという事は体が一気に大人へ近づくという事ですから、戸惑いや心配が多くなってしまうのは仕方がありません。初潮を迎えるころは周りとの関係に敏感ですから、生理が早く来ても遅く来ても周りの友達と比べてしまい、結果としてストレスとなってしまう事も多いです。
信頼できる人に相談できるような環境ならば良いのですが、そうできないのもストレスに拍車をかける原因となってしまいます。最近では思春期外来を併設している大きな総合病院が増えていて、思春期特有の心身の問題を相談したり検査・治療ができるようになっています。
ただ話をして自分の気持ちを分かってもらうだけでも十分に効果がありますから、悩んだ時は最寄の思春期外来を探してもらいましょう。
まとめ
初潮についての情報を幅広くご紹介しました。初潮は12歳くらいに始まることが多いですが、9歳と早い子もいれば15歳と遅めの子もいます。人それぞれ初潮が来る時期は異なりますが、この範囲内であれば心配しすぎる必要はないでしょう。
過激なダイエットやストレスは初潮の遅れに繋がりますので、気をつけるようにしてください。初潮を迎えると、少し戸惑い照れるような感覚が産まれるかもしれませんが、身体がきちんと成長している証でもあります。
しばらくの間は生理周期も不規則ですが、身体が慣れていくにつれて生理そのものにも慣れていくことでしょう。初潮をきっかけに自分の身体と向き合い、ひとりの女性としてさらにステップアップしていってください。